工作室のページ     

点火が気まぐれな ビルトインガスコンロの修理 メモ   2025.3.18
(ハーマン HARMAN C3WL3PWA 修理)


ここ数ヶ月間、キッチンのビルトインガスコンロの点火が気まぐれになりました。
13年前に自分で取付たコンロです。 修理に挑戦してみました。

以下はその作業の記録メモです。
・参考ハーマン社資料(pdf): リンクが開けない場合は右クリックしてリンク先アドレスをコピーして別窓で読んでください。
 取扱説明書工事説明書



MEMO

時々次の現象が発生し右手前バーナーが点火しないエラーになります。

(症状)
・通常はまったく問題なく使用できますが電源ボタンON時に、時々次の障害が発生します。 
 この障害は、長時間放置した後や、一度電源OFFにして点火ボタンのON/OFFを繰り返えした後に症状が消えて正常になることがあります。
・障害時にはコンロ操作部にエラーコード 「20」と「_2}が交互に表示されます。
・正常時はメイン電源をONの時、コンロ操作部の設定キーがすべて点滅(Welcomeサイン)します。
 しかし障害時は右コンロ表示部分だけ光らなくて右コンロは点火ボタンを押しても点火しませんし、
 消火位置に戻すと、「ピー、ピー断続音」が10秒間なり、点火表示ランプの内、最弱ランプが点灯します。

下記は工事の様子を記した備忘メモです。


1.症状の原因
・本体に内蔵されている作動フローチャートによるとエラーコード「20」は初期チェック時の電源SW異常とのこと。
 点火ボタンの位置検出に問題がありそうです。
・コンロ操作部の点火/消火ボタンを分解し修理することにしました。

   フローチャート
   


2.修理手順の記録
・コンロ内に機器分解シートもあったが、手順が書かれていないので分解のコツが判るまでかなり手間取りました。

<手順>
1) 天板
 天板後方のグリル排気口カバーの下にある天板の固定ネジ(2本)を外してガラス天板を持ち上げ外す。
 フローチャート・分解図は内部壁面のビニール袋にあった。
 13年前の設置だが、内部の状況を確認したところ予想よりきれいで劣化はほぼなかった。

2) 上部の内部観察とクリーニング
 上部からコンロ前面にある部品へのアクセスはできないことが判明したので要所をクリーニングして天板を戻す。

  天板内外観
   
   天板を外した内部のようす。13年にしては予想よりきれいであった。

3) 前面パネルの取り外し
 - 作業をしやすいようにグリル部品やサイドカバーを外す。
 - 右側のコンロ操作部のパネルは表面に化粧板を取り付けた2重構造になっている。
  上下共に化粧板は右コーナーをゆっくり持ち上げれば扉が開く形で外れる。
 - 扉左の蝶番pinを上下に動かして外す。
 - 必ずしも必要でないが、下部のpush out式の操作部分本体は水平のPINを左に引き抜くと分解できる

  右側のコンロ(バーナー)操作部
   

  右側のコンロ操作部(下段をPush Outしたところ)
   

  右側のコンロ操作部(上段の化粧パネルを外す)
   

  上段の蝶番を外してパネルを分離する。スイッチモジュールが現れる
   

  下段の化粧パネルと下部カバー板を分離。作業中だけ戻りバネを仮固定した
   

4) 上部スイッチモジュールユニットの外し方
 このモジュールユニットは通常の使用で動かないように工夫されていて、仕組みを知らないと
 いろいろな工具でこじっても取り出せない。外し方を理解するまで、多大の時間を要した。
 下段の操作パネル部分を全部取り外してその空間に小型のカメラをいれて撮影し、
 モジュールユニットを固定している仕組みを解明した。

 ・仕組み
  - ユニットはその下面にある二つの爪で本体の金属フレームに固定されている。
  - ユニットは中程の板バネ状のプラスチック構造部を上方向に押して爪(ラッチ)を外し、右に数mm位スライドすると外れる
※ →おそらく、メーカの技術者は中央のボタンの下にある幅1cm位の穴から薄い板バネ状の工具を差し込みそれを右横方向にスライスすることで「ラッチ#1」を押し上げて解除し、その状態でユニット全体を右にスライドして外すのだろうと想像できます。

 スイッチモジュール下辺部分の爪(ラッチ#1)
   

  第2の爪(ラッチ#2)
   ラッチ#1の爪があるバネ製の板部分を情報に持ち上げて引っ掛かりを外しながら
   ユニットを正面右方向にスライドすると、この爪(Latch-2)が引っ掛かり領域から外れる。
   

  ユニットを外した後で観察したラッチの構造写真
   

  ユニットが外れた
   

5) スイッチユニット
 取り出したユニットを分解して各スイッチについて調査した。
  - 3つの点火/消火ボタンのスイッチの構造は同じ。
  - 点火/消火ボタンの位置検出は各基板上のレバー付きマイクロスイッチで行っている。
  - 消火ボタンの位置(押し込み状態)でマイクロスイッチはメーク(ON)状態。点火位置でOFFになる。
  - 安全対策として各ボタンに2個のマイクロスイッチを使い、両方の接点のON/OFF状態が一致していないとエラーコード「20」を出す構造。
  - 不調の#2バーナの基板のマイクロスイッチに接点復活材を吹きかけ接点接触状態を改善した。
   念のため使用頻度が多い#2の基板と使用頻度が少ない後方バーナ(#3)の基板とを入れ換えた。

  - 各マイクロスイッチ内には接点が2回路有るようだか1回路しか使用していない様なので2回路並列に改造した。

  電源SWコネクタをはずした後のユニットの裏(基板)側
   

  点火/消火ボタンの後ろ側外周部がマイクロスイッチレバーを押し、
  ボタンの過度の圧力はSWに伝わらない構造になっている。

   

  二系統のボタン位置検出のSW構成。そのレバーの形状。
  回転軸はロータリーエンコーダ(3極:アルプス製)

   

  基板表面。 抵抗はSWと直列接続の10kΩ。
  抵抗両端電圧でSW状態を検出している。

   

  裏面パターン
   

  各マイクロSWの接点を並列化する配線を追加した
   

6) 再組み立て・確認
 処置を施したスイッチモジールを逆の手順で組み立てた。組み立ては簡単。
   @基板をロータリエンコーダの軸ネジで金属支持板に固定
   A支持板をユニットケースにネジ止め(2ヶ所)
   A点火/消火ボタンコネクタを接続(3個)
   Bユニットケースの電源・LEDボタンのコネクタを接続(1個)
   


3.修理結果
 すこぶる軽快に点火します。
  - 順調です。コンロの内部はきれいなので、まだしばらく働いてくれるでしょう。
 期待通りに改善されました。
 通常の業者に修理を依頼したらスイッチユニット全体か、悪くするとガスコンロ全体の交換なのでしょうね。

 無事完了して めでたし めでたし。

 (^|^;)